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それが鷹の道

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2005年 11月 27日

今さらながら城島への思い

私がその選手の名前を初めて聞いたのは、11年前のドラフト会議の時。
福岡ダイエーホークスが1位で指名した選手、それが城島健司であった。

超高校級捕手と言われていたようであるが、
別府大付属高校という甲子園には出場していなかった(当時)学校の選手であり、
私にとっては全く初耳の選手であった。
しかも、当時の私はまだホークスファンではなく、
「へえ。高校生の捕手を1位で指名なんて、ダイエーも珍しい事をするなあ。」
この程度の認識しかなかった。




時は経ち、'98年頃から私はホークスを応援し始めるようになった。
そこであの選手の名前を再び聞く事になる。
彼は既にホークスの正捕手になっていた。
しかしながら、リード面の能力を疑問視された事も珍しくなかった。
その前年の'97年に高卒3年目にしてレギュラーを張っていた選手ではあったが、
まだまだ若さと経験不足が表れていた時であった。

加えて、この'98年は打撃面でも精彩を欠いていた。
その前年に見事に打率3割をマークしてはいたが、
その時の活躍をあまり見ていなかった私にとっては、正直、
「なんで城島なんか使い続けるんだろう?」
そう思っていた。
しかし、それでも王監督は城島にマスクを被らせ続けた。

思えば、この'98年から'99年というのは、
少々結果が出なくても、王監督が使い続け、チャンスを与え続けた選手が
城島以外にもいた。
小久保裕紀をずっと4番で起用したのもそうだった。
井口資仁にチャンスを与え続けたのもそうだった。
まさにこの時期は、ホークスにとって試行錯誤の時期であった。

それに加えて、当時のホークスには城島を厳しく育てる先輩投手がいた。
それが工藤公康武田一浩といったベテラン投手陣である。
工藤は城島のサインにわざと首を振らずに投げた結果打たれてしまい、
その後に城島のリードの何が良くなかったかを教えた事さえあったという。

'99年、福岡ダイエーホークスは見事に初優勝を果たし、
日本一まで駆け上がった。
城島、小久保、井口…与えられたチャンスを生かした選手の能力が
一気に爆発したのだ。
リーグ優勝の時の城島の涙は、今も印象に残っている。
一時は「捕手失格」とも酷評された男の地道な努力が結実した瞬間に、
それまでの様々な思いが溢れ出たように思えた。

本人の並大抵ではなかったであろう努力、
チャンスを与え続けた監督、
身を以って厳しく育てる先輩、
どれが欠けても今の城島の姿は無かったと思う。

そして工藤が去った2000年以降、
城島は完全に独り立ちし、自らの手でその成長を止めてしまう事はなかった。
進化し続けた城島は、キャッチャーとして、主軸打者として、
もはやホークスにとって欠く事のできない存在になった。
2003年、全試合フルイニング出場を果たして、
リーグ優勝&日本一の大きな原動力となった事で、
その存在感は絶対的となった。

もうこうなってしまえば、城島のいないホークスなんて想像する事さえもできない。
しかし、彼には彼の夢があった。
FAという選手に与えられた正当な権利を行使して行く以上、
彼のメジャー挑戦という夢を止める事は、誰にもできなかった。

工藤を見て育ってきた城島が抜けて、
今度はその城島を見て育ってきた斉藤和巳・杉内俊哉・和田毅・新垣渚といった投手陣、
そして的場直樹をはじめとした捕手陣が、一本立ちする番である。
戦力は大幅ダウンし、来季のホークスは苦しいのではないかという声もあるが、
城島が残したもの、それがホークスの選手達に受け継がれ、
彼らが進化していけば、きっと大丈夫であろうと思う。
幸い、彼らを見守り続け、チャンスを与え続ける王監督が今もチームの指揮を執る。
城島に続く大選手を育てる為の条件は揃っているのだ。

そして、メジャーでの城島健司に期待するもの。
それは更なる進化を遂げる姿である。
もはや日本の球界において、捕手として肩を並べる存在はいなくなっていたが、
これが決して城島の完成形ではないだろう。

さらに大きな選手になって、再び戻ってくる日の事を私は待っている。

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…えー、城島メジャー行きについてなかなかじっくり書く時間がなかったのですが、
溜まっていたこれまでの思いを爆発させて、長文を書いてみました(苦笑)

全国的な知名度はなかった一高校生捕手が球界を代表するような捕手に成長するまでの軌跡、
もちろん私は側で見ていたわけではないけど(当たり前だ)、
それを通して、人を育てる事の大事さ、人を育てるには何が必要なのかという事について
考えさせられます。
そんなところも含めて書いてみました。

まあ、何はともあれ本当に頑張って欲しいです。
城島は、最後はホークスに戻って来れれば嬉しい、というような事も言っていたといいますが、
その気持ちは嬉しいけれど、まずはマリナーズの正捕手を守り続ける事に専念して欲しいです。
そして、同じアメリカン・リーグの球団に属する井口と対決する日も、また楽しみですね。

by takanomichi | 2005-11-27 23:02 | Hawks


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